サマルカンド地域における集落遺跡調査(2000年8月23日〜9月2日)

小方 登(京都大学 人間・環境学研究科)

ここでは,(財)なら・シルクロード博記念国際交流財団/シルクロード学研究センターの課題研究「衛星写真等を用いたシルクロード都市・遺跡データベースの作成」(代表者:小方登)の一環として実施されたウズベキスタン共和国・サマルカンド周辺地域における調査の際の写真アルバムを,遺跡の衛星写真とともに紹介します。調査は対象地域のCORONA衛星写真(1964年10月20日撮影)を検討して遺跡と思われる地物をいくつか識別し,サマルカンド考古学研究所のムフタール博士らのご協力のもと,現地の状況を確認する形で行われました。課題研究の成果は,『衛星写真を利用したシルクロード地域の都市・集落・遺跡の研究』(『シルクロード学研究』17号,2003)として刊行されました。

この研究テーマを継承した科学研究費プロジェクト(代表者:小方)の研究成果を以下のページに掲載しますので,ご覧ください。(2017年4月27日)


 

対象地域

左の写真は調査で使用したCORONA衛星写真(1964年10月20日撮影)。サマルカンドを含むザラフシャン川流域(写真の上 ― 北)とシャフリサブズを含むカシュカ川流域(写真の下 ― 南)が対象地域である。いずれも乾燥地域におけるオアシスで,写真では黒く写っている。

赤丸で示したのが今回調査した遺跡,青い四角で示したのが主要都市である。

サマルカンドは,歴史を通じてシルクロード地域の要衝を占めてきた。紀元前4世紀,ギリシアのアレクサンダー大王の軍は,この地に到達し,紀元後7世紀,三蔵法師として知られる中国の僧,玄奘は,サマルカンドを西域諸国の中心であると記述した。15世紀には,ティムールの築いた大帝国の首都として栄えた。


 

8月25日 サマルカンド南方,盆地縁辺付近に点在する遺跡を調査。

カフィル・カラ‥‥小規模な都市の遺跡で,城塞部は下からの高さ20mある。2つの川の合流点にある。
カフィル・カラ,ギシュト・テパおよびドゥニョ・ミルゾ・テパ(CORONA衛星写真)→
←下から見上げるカフィル・カラの城塞部分
城塞の頂上から見た3つの塔(パノラマ合成)→

 
←ギシュト・テパ‥‥正方形に近い角錐台形を呈する
ドゥニョ・ミルゾ・テパ‥‥遺丘の断面に井戸の遺構が見られる→

無名のテパ(遺丘)‥‥耕地の中に散在していた。
耕地の中に散在する無名の小さなテパ群(CORONA衛星写真)→
←円錐形の無名のテパ
トウモロコシ畑の中にある角錐台状を呈する無名のテパ→

 

8月26日 サマルカンドから西方へ向かい,盆地南辺に点在する遺跡を調査。

ロビンジョン・テパ‥‥近年の用水路建設で破壊された。
ロビンジョン・テパ(CORONA衛星写真)→
←ロビンジョン・テパ

 


カフィル・クルガン‥‥方形の城塞。中央部に《アーク》(建物跡?),西南に隅櫓があり,発掘調査された跡が見られた。
  カフィル・クルガン(CORONA衛星写真)→
←西南の隅櫓
中央部の《アーク》→

 

8月28日 盆地中央のコク・テパを経て盆地北辺の遺跡を調査。

コク・テパ‥‥サマルカンドを除けば,近辺で最も古く,かつ大規模な集落遺跡。近年の発掘で,漢代の中国銅鏡が出土したとの話。
  コク・テパ(CORONA衛星写真)→
コク・テパの城塞部分。発掘のトレンチが見える→
←コク・テパの建物跡。上部にアーチをもつ窓が見える。

 


クルガン・テパ‥‥ザラフシャン川に北から合流する支谷に位置する,複雑な構造を持つ遺跡。
  クルガン・テパ(CORONA衛星写真)→
遺跡中央にある円形の大きなマウンド→
←遺跡西側の小さなマウンド。ゾロアスター教寺院の跡という説明だった。

 


コロヴル・テパ‥‥「狼煙の丘」という意味。稜線上にある小さな城塞の遺跡。
コロヴル・テパ(CORONA衛星写真)→
←頂上の城塞部分の手前に3本の竪堀が見える。

 


トルトクル・テパ‥‥コラスウ川沿いに点在する遺跡群のなかで,最も大きく,周濠をもつ方形の遺丘。
  トルトクル・テパ(CORONA衛星写真)→
テパの上からの眺め。テパは巨大で高く,周囲の傾斜は急→
←テパの周囲を用水路がめぐる。

。 

8月29日 峠を南に越えて,シャフリサブズの町があるカシュカ川流域盆地の南辺に位置するチムクルガン・テパを調査。

チムクルガン・テパ‥‥二重の囲郭・周濠を持つ巨大な城塞の遺跡。河岸段丘と支谷の地形を巧みに利用している。
チムクルガン・テパ(CORONA衛星写真)→
←チムクルガン・テパ北面の段丘崖。手前は河床。
中央の内城部分→
←城塞東側の周濠。衛星写真から人為的な造作によることは明らか

 


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